中東情報分析

イスラーム過激派モニター(会員限定)

『イスラム過激派モニター』は、「イスラーム国」やアル=カーイダ等のイスラーム過激派諸派に関して、これまで「中東かわら版」を通じて発行していた内容により詳細な分析を加えたレポートです。

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2023/08
No.M23-06 サヘル地域のイスラーム過激派:マリ国連部隊の撤収とニジェール政変の影響  サヘル地域(主にマリやブルキナファソ、ニジェール)では、イスラーム過激派組織による攻撃が多発し、治安状況が悪化の一途を辿っている。こうした中、マリでは2013年より展開中のMINUSMA(国連マリ多面的統合安定化ミッション)が2023年末までに撤収することが決定された。また、今年7月末にニジェールで軍事クーデターが発生し、政治的混乱が生じている。仏軍のニジェール撤退やロシアの民間軍事会社「ワグネル」の展開の可能性もあり、今後、ニジェールでの治安維持能力の変化が過激派の勢力拡大につながるかが注視される。
 本稿では、まず犯行声明よりイスラーム過激派の活動実態について考察する。次に、MINUSMAのマリ撤収とニジェールの政変がサヘル地域の治安情勢に及ぼす影響を検討する。

【目次】
1. 犯行声明から見る過激派組織の活動実態
2. マリ国連部隊撤収による治安上の影響
3. ニジェール政変がサヘル地域の治安状況に及ぼす影響
2023/08
No.M23-05 「イスラーム国」新カリフに対する各「州」の忠誠表明と武装活動の展望 2023年8月3日に「イスラーム国」(IS)が第5代アブー・ハフス・ハーシミー・クラシーの即位を発表したのを受け、同派の各地域支部(州)は、彼に対する忠誠の誓い(バイア)の儀礼を行い、インターネット上で公開した。新カリフ選出後、各「州」の忠誠表明は恒例となっており、忠誠表明の発出時期や画像類は、各州の勢力規模や士気を推察できる機会となる。
本稿は、まずIS各州の忠誠表明の状況を確認し、次に忠誠表明とその後の武装活動の関連性を分析する。そして、今後の武装活動の展望について検討する。


【目次】
1. 各州の忠誠表明一覧
2. 忠誠表明と武装活動の関連性
3. 武装活動の展望
2023/08
No.M23-04 「イスラーム国」が第4代カリフの死亡と第5代カリフの即位を発表 8月3日、「イスラーム国」(IS)はインターネット上で、第4代カリフ、アブー・フサイン・フサイニー・クラシーの死亡と、第5代カリフ、アブー・ハフス・ハーシミー・クラシーの即位を発表した。先代カリフについては今年4月、トルコのエルドアン大統領がシリアで殺害したと発表していたが、ISが本件を認めたのは初めて。ISによれば、先代カリフはシリアのイドリブで、トルコが支援する武装グループ、シャーム解放機構による攻撃で死亡した。本稿では、カリフ交代の声明につき解説し、今後の影響につき検討する。

【目次】
1. カリフ死亡・即位声明の概要
2. 今後注視すべき点など
2023/08
No.M23-03 パキスタンで「イスラーム国」が自爆攻撃 7月30日、パキスタンで政治集会中に爆発が起こり、44名以上が死亡、200名近い負傷者が出た。これについて、「イスラーム国・ホラーサーン州」(ISKP)が犯行声明を出した。場所は同国北西部、アフガニスタンとの国境近くのハイバル・パフトゥーンフワー州マラカンド管区のバジョール地区で、州都ペシャワールに近く、ここ数年、イスラーム過激派が活発化している地域である。本稿では、ISKPの近年の伸張とともに、これがパキスタン北西部の治安状況に及ぼしている影響につき検討したい。

【目次】
1. 犯行声明
2. パキスタン北西部に移動しつつあるISKP
3. パキスタン北西部を牙城とするTTP
4. 今後の影響
2023/07
No.M23-02 スウェーデンでのクルアーン冒涜にかかわるイスラーム過激派の反応 2023年7月20日、在イラク・スウェーデン大使館がデモ隊による襲撃を受けた。一連の出来事の背景にあるのは、6月28日にスウェーデンの首都ストックホルムで、イラク人のサルワン・モミカ氏(37歳男性、難民あるいは移民。キリスト教徒、元人民動員部隊所属と報じられている)が行った、モスクの前でクルアーンを燃やすという挑発行為である。本稿では、これに関してイスラーム過激諸派が何らかの反応を見せてきたのかを整理し、その意味を検討したい。

【目次】
1. ストックホルムでのクルアーン冒涜に関するタイムライン
2. ストックホルムでのクルアーン冒涜を受けたイスラーム過激派による声明
3. ストックホルムでのクルアーン冒涜騒動をどう位置づけるか
2023/04
No.M23-01 「イスラーム国・モザンビーク州」の活動とガス田開発への影響  モザンビーク北部では、2017年より「シャバーブ 」と呼ばれるイスラーム過激派組織が、軍やキリスト教徒の住民に対する攻撃を繰り返している 。同組織は2019年に「イスラーム国(IS)・中央アフリカ州」名義で戦果発信を開始した。2021年には、日本も出資するガス田開発サイトに進攻し、事業中断に追い込んだ。その後、2022年より「ISモザンビーク州」名義で活動し、依然として治安上の脅威となっている。こうした中、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、欧州諸国がロシア産化石燃料からの脱却を進め、代替調達先の1つとしてモザンビークに期待を寄せている。
 本稿では、ISモザンビーク州の活動地の変化に注目しながら、再開が目指されているガス田開発事業への影響を検討する。

【目次】
1.ISモザンビーク州の活動地の変化
2.ISモザンビーク州の活動がガス田開発の動向に及ぼす影響
2023/03
No.M22-22 ブルキナファソにおける「イスラーム国・サヘル州」の伸長とサヘル地域情勢  2023年2月以降、「イスラーム国(IS)・サヘル州」はブルキナファソで攻撃を活発化させている。ブルキナファソでは、ISサヘル州以外のイスラーム過激派組織も攻勢を強めており、治安状況が悪化の一途を辿っている。こうした中、フランス軍がマリに続き、ブルキナファソからも撤退する見通しとなり、フランスのサヘル地域への軍事的関与が更に弱まると予想される。
 本稿では、まずISサヘル州がブルキナファソで伸長している理由を分析する。次に展望として、ブルキナファソでの治安悪化がサヘル地域情勢や周辺諸国の治安情勢に及ぼす影響を検討する。

【目次】
1.ブルキナファソで伸長するISサヘル州
2.展望:サヘル地域情勢や周辺諸国の治安状況への影響
2023/01
No.M22-21 ペシャーワル市のモスク爆破事件とパキスタン・ターリバーン運動の反応 2023年1月30日、パキスタンのペシャーワル市のモスクで昼の礼拝が行われていたところ、爆発があり、31日までに少なくとも59名が死亡、157名が負傷した。この事件に関し、パキスタン・ターリバーン運動(TTP)の幹部2名が犯行声明を出した一方で、TTP報道官が事件との関係を否定する声明を出した。本稿は、最近のTTPの活動状況や声明類の発信をもとに、2つの声明と事件との関連や今後のパキスタンにおけるイスラーム過激派の脅威について分析する。

【目次】
1.事件の概要とパキスタン・ターリバーン運動の否定声明
2.TTPの活動状況と今次声明からわかること
2023/01
No.M22-20 アラビア半島のアル=カーイダはどこで何をしてるのか 2022年8月、米国がアル=カーイダ(AQ)の首領アイマン・ザワーヒリーの殺害を発表してから約5カ月がたった。この間、AQが新指導者を発表するでも、各地のAQ系武装組織が弔意や米国への復讐を発信するでもなく時間が過ぎている。ソマリアのシャバーブは依然として積極的な武装活動を展開し、西アフリカの「イスラームとムスリム支援団」(JNIM)もフランス軍の撤退を機に伸張を見せている。一方で「イスラーム的マグリブのアル=カーイダ」(AQIM)や「インド亜大陸のアル=カーイダ」(AQIS)は武装活動がほとんど報告されないが、だからといってそのことがザワーヒリーの殺害発表による影響かというとそうではないだろう。同発表が各地のAQ系勢力の活動に与えた影響は、良きにつけ悪しきにつけ現時点でほとんど見当たらず、諸派の動向はすぐれてローカルな文脈に依存しているといってよいのが現状だ。このことを前提に、本稿は2022年に比較的目立った活動転換を見せた「アラビア半島のアル=カーイダ」(AQAP)の動向に着目したい。

【目次】
1. AQAPの戦場
2. AQAPの標的
3. 8月の転換をどう見るか
2022/12
No.M22-19 「イスラーム国」新カリフへの遅れての忠誠表明 2022年12月14~19日、「イスラーム国」(IS)のシナイ州、東アジア州、リビア州の3つの支部が、カリフ・アブー・フサイン・フサイニー・クラシーへの忠誠表明を行い、その様子をインターネット上で公開した。これで、前カリフに忠誠表明を行った州の全てが新カリフへの忠誠表明を済ませたことになる。
2022/12
No.M22-18 「イスラーム国」がアフガニスタンの中国人行きつけホテルで自爆攻撃 2022年12月12日、「イスラーム国」(IS)のホラーサーン州は、活動拠点であるアフガニスタンの首都カーブルで自爆攻撃を行ったとの声明を出した。声明によれば、標的は「中国人の外交官やビジネスパーソン」(声明原文ママ)が使用するホテルで、ターリバーンとあわせ、30名以上を殺傷した。自爆したIS戦闘員2名(以下図)に関しては、決行前にISの新カリフ・アブー・フサイン・フサイニー・クラシーに忠誠を誓う画像が声明とあわせて公表された。なおターリバーンの公式報道官は、実行犯3名(全員死亡)、外国人ホテル宿泊者2名が軽傷、ホテル宿泊客・外国人ともに死者は無し、と発表した。
2022/12
No.M22-17 「イスラーム国」新カリフに対する各支部の忠誠表明と近況  2022年11月30日の「イスラーム国」(IS)による、新カリフ発表を受けて、同派の地域支部(州)は、それぞれ彼に対する忠誠の誓い(バイア)の儀礼を行い、インターネット上で公開した。カリフはISの首領だが、その権威は基本的に政治領域に限られる(例えば彼のイスラーム解釈が「正統」なものとして拘束力を持つわけではない)。また各州は、カリフの具体的な指示や支援によって武装活動を行っているわけではないと考えられている。これらを考慮すれば、各州の忠誠表明は、ISの一州であるとの自己規定を維持する方針を世に伝えること以上の意味はないともいえる。一方、各州にとって忠誠表明の儀礼は、メンバーが集まって行われる性質上、各派の士気や規模を喧伝する機会となる。この前提で、本稿は各州の忠誠表明の状況を確認し、それを近年の各派の武装活動と照らし合わせることで、各地のISの伸張ないし衰退状況を分析する。

【目次】
1.各州の忠誠表明一覧
2.各州の武装活動の傾向
3.まとめと補足
2022/12
No.M22-16 「イスラーム国」がカリフの死亡と新カリフを発表  2022年11月30日、「イスラーム国」(IS)の広報部門・フルカーン広報製作機構は、アブー・ウマル・ムハージル公式報道官の音声声明「彼らは殺し、また殺される」(クルアーン悔悟章111節)を発信し、同組織の自称カリフであったアブー・ハサン・ハーシミー・クラシー(2022年3月10日就任)が殺害されたことを発表した。同時に、合議によってアブー・フサイン・フサイニー・クラシーを新たなカリフに選出したことも明らかにした。
 本稿では、公式報道官声明の内容を要約した上で、最近のISの状況を踏まえ、新指導者の任命がISをめぐる情勢にどのような影響を与えうるのか考察する。
2022/11
No.M22-15 フランスの「バルカン」作戦終了とサヘル地域の過激派動向  2022年11月9日、フランスのマクロン大統領はサヘル地域の過激派掃討作戦「バルカン」の終了を発表した。フランスは2013年1月にマリに軍事介入した後、2014年8月よりマリ及び周辺4カ国を対象に同作戦を開始した。今般の発表により、駐留部隊の段階的削減や軍基地の再編もありうる。サヘル地域でイスラーム過激派の脅威が残る中、フランスの軍事的関与の低下がサヘル地域のみならず、隣接する北アフリカの治安情勢にも影響を及ぼすかが注目される。
 本稿では、まずフランスがバルカン作戦を終了させる理由を分析する。次に、過激派組織の発出声明を通じて、活動状況について考察する。そして、フランスの軍事的プレゼンスの低下がサヘル周辺の地域情勢に及ぼす影響に及ぼす影響を検討する。

【目次】
1. 過激派掃討作戦「バルカン」終了の理由
2. JNIM及びISサヘル州の声明から見る活動状況
3. 展望:フランスの軍事的関与の低下が地域情勢に及ぼす影響
2022/11
No.M22-14 アラビア半島のアル=カーイダがカタルでのW杯開催を非難する声明を発出 2022年11月19日、カタルでのサッカーW杯開幕を前日に控える中、アラビア半島のアル=カーイダ(AQAP)が以下概要の通り声明を発出した。(中略)一部海外のメディアでは、以上の声明を治安上の脅威、すなわちW杯会場等を標的として攻撃予告のごとく捉える向きも見られる。しかし現状のAQAPの活動範囲や能力等に鑑みれば、実際にカタルで大規模な攻撃が起こるとは考えにくい。この点、AQAPの意図は字義通り、W杯に熱狂することへの非難以上のものではないと捉えて良いだろう。
2022/10
No.M22-13 2022年13号 「イスラーム国」イランがシーラーズでの攻撃を主張 2022年10月26日、イラン南西部のシーラーズにあるシャー・チェラーグ廟で銃の乱射事件が起こり、死者15名、負傷者23名が発生したと報じられた。同日、攻撃を主張する犯行声明が「イスラーム国(IS)イラン」の名義で発出された。声明概要は、以下の通りである。(中略)今次攻撃でまず注目すべき点は、イランでは2018年以来となるISの攻撃が何を意味するかである。(中略)第二に注目すべき点は、直接の攻撃対象が政府関連主体ではなくシーア派の一般民衆であったことである。
2022/09
No.M22-12 2022年12号 「イスラーム国・モザンビーク州」がナンプーラ州での攻撃を活発化  2022年9月6日、モザンビーク北部ナンプーラ州でイスラーム過激派がキリスト教の教会を襲撃し、イタリア人修道女を含む4人以上を殺害した。翌日、「イスラーム国(IS)・モザンビーク州」が本攻撃の犯行声明を発出した。ISモザンビーク州はこれまでカーボ・デルガード州を拠点に活動してきたが、9月6日以降はナンプーラ州メンバ郡で作戦を活発化させている。
 本稿では、まずISモザンビーク州のナンプーラ州での活動状況を整理する。次に展望として、国際的な過激派掃討作戦やガス田開発の動向が、ISモザンビーク州の活動に及ぼす影響について検討する。

【目次】
1.ISモザンビーク州のナンプーラ州進出
2.展望:過激派掃討作戦とガス田開発の動向からの影響
2022/09
No.M22-11 2022年11号 カーブルのロシア大使館攻撃について イスラーム国ホラーサーン州が犯行声明を発出 2022 年9 月5 日にカーブルのロシア大使館で起きた自爆事件について、同日、「イスラーム国ホラーサーン州」(ISKP)がインターネット上で犯行声明を出した。本レポートでは、犯行声明やISKPの広報活動をもとに、今後のISKPの脅威について考察する。
2022/08
No.M22-10 2022年10号 フランスのマリ撤退とワグネル主導の過激派掃討作戦の行方  2022年8月15日、フランスはマリから兵士を引き揚げ、マリでの過激派掃討作戦を終了させた。フランスは隣国ニジェールやブルキナファソなどで軍事作戦を継続する一方、マリではロシアの民間軍事会社「ワグネル」が過激派勢力と対峙している。
 本稿では、まずフランスによるマリ軍事作戦の経緯と成果を整理する。次に、フランスがマリから撤退した理由を分析する。最後に展望として、フランスに代わり、ワグネル主導の過激派掃討作戦がマリの治安情勢に及ぼす影響について検討する。

【目次】
1.約9年半にわたるマリでの軍事作戦
2.フランスのマリ撤退の理由
3.展望:ワグネル主導の過激派掃討作戦の行方
2022/08
No.M22-09 2022年9号 ターリバーン復権後の「イスラーム国」ホラーサーン州  2021年8月15日にアフガニスタンでターリバーンが政権奪取を宣言してから1年が経った。経済低迷や地震被害(2022年6月)、さらに米国による首都カーブルでのアル=カーイダ指導者ザワーヒリー師の殺害発表(2022年8月1日)等もあって、同国の治安状況には一向に落ち着く気配が見られない。こうした中、2015年初頭からアフガニスタンで活動してきた「イスラーム国」(IS)のホラーサーン州(ISKP)も、カーブルをはじめとした各都市で武装活動を継続している。本稿では、ターリバーンの政権奪取後のアフガニスタンで、ISKPがどのような展開を見せているのかを検証する。

【目次】
1. 過去一年間のISKPの作戦数
2. 過去一年間のISKPの作戦地域
3. 評価


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