中東情報分析

イスラーム過激派モニター(会員限定)

2021年16号 「イスラーム国」がハサカ市のグワイラーン刑務所を襲撃

No.No.21-16 2021年16号 「イスラーム国」がハサカ市のグワイラーン刑務所を襲撃

 2021年1月20日、シリア北東部のハサカ市グワイラーン地区で、多数の「イスラーム国」戦闘員が工業高校刑務所(以下、グワイラーン刑務所)を襲撃し、刑務所を管理するクルド人主体武装組織「シリア民主軍」と戦闘になった。襲撃に加わった戦闘員の数は200人とも言われる。同刑務所には「イスラーム国」構成員約3500人(戦闘員、妻、子ども。外国人を含む)が収容されており、襲撃により多くの構成員が脱獄したと報じられた。
 今回の事件は、「イスラーム国」メンバーの脱獄や、戦闘に伴う地元住民の避難が起きたため、各種メディアが大きく報じた。近年、衰退が著しいシリアの「イスラーム国」にとって、今回の作戦は大きな戦果と言える。本稿は、まずグワイラーン刑務所のある北東部の現状を概説し、今次襲撃が「イスラーム国」の現状においてどのような意味を持つのか考察する。

【目次】
1.はじめに
2.シリア北東部の現状
3.シリアの「イスラーム国」が復活?


PAGE
TOP